がくちょうレポート

21世紀の教育と幸福

個人開発レベルで面白いゲームをどうやって再現性を持たせて創造するか

がくちょうです。

今日のテーマはタイトルの通り。

 

「面白いゲームの再現性」というのが、私の今の研究テーマです。

 

現段階の進捗

2023年の9月ごろから、上記の研究に着手しました。

 

仮説1:まずは企画が大事なのではないか

着手後、すぐに

「企画書」

「仕様書」

を独自に作ってみて、それをベースに

の3つを制作し、リリースしてみました。

とりあえず、企画書を先に作成し、自分たちの中で「どう面白いのか?」というのを一定のレベル感で言語化することで、面白さを安定させるのが狙いでした。

 

結果的に、一定のユーザーを獲得できましたが、プレイ時間が伸びず、あとが続かないので「初月に1000ユーザー程度獲得したあと、低浮上になる」という現象を確認しました。

 

仮説2:ゲームパターンは根本的に3分類できるのではないか

この段階で、そもそもゲームという物を

  1. (A)完全1人用ゲーム
  2. (B)1人でもできるが、複数だとより面白く感じるゲーム
  3. (C)完全に2人以上でやるゲーム

の3つに分類し、現段階で最も優位性を高くできるパターンはBパターンなのではないか?と判断しました。

これは、UEFNという土俵での勝負を考えた時に、

  • 完全1人用よりも友人と一緒に遊べたりする方がプレイ時間が長くなりやすい
  • だが、完全に多人数用ゲームだとマッチングしない問題が発生しやすい

という風に考えての事です。

 

その後、Bパターンを意識して

の2つをリリースし、データを獲ってみると、狙い通り「平均プレイ時間」がAパターンよりも明らかに伸びていることが分かりました。

 

(厳密に言えば、これはゲームパターンがプレイ時間を伸ばしたわけではなく、単調なゲームでも「競争と比較欲」を追加できればメカニクスの複雑性が上がって、プレイ時間が伸びていた、という事だと思います。)

 

上記を確認するため、さらにこの後

も制作し、リリースしました。

 

結果、プレイ人数は初月である程度稼げた1作目や2作目が平均6分程度のプレイ時間だったのに比べて、6作目は20分~30分になり、長い時は40分~1時間以上のプレイ時間を獲得できることもありました。

 

パターンBを採用し、基本1人用のゲームに同時接続させることによって、複雑にゲームメカニクスを創りこまなくても競争と比較欲を刺激できたり、チームでの参加を促せ、それによって平均プレイ時間が数倍に伸びることが証明できました。

 

これは明確にUEFNという土俵におけるメリットであるため、

  • 1人用のゲームを作成する際にも、基本的にはまずBパターンでの制作を検討してみる
  • 多人数用のゲームを作成する際にも、Bパターンでの制作にできないかを検討してみる

という手順を入れることで、マッチングしやすさとプレイ時間の両立ができる、というワークフローが完成しました。

 

仮説3:プレイ時間が最も重要なKPIなのではないか

ここまで6つリリースしましたが、ここで6作目のエスケープゲームのデータに異変が起きました。

 

今までは、基本的に初月に3回のアクセスの波が来て、その後はほとんど低浮上のままになっていたのが、6作目だけが小さな波が何度も起こるような不規則かつ多頻度のアクセスの波を計測し、その後も微妙ですがアクセス数が底上げされたままだったのです。

 

上記の違いは明らかに「平均プレイ時間」でした。

 

現段階で、提供されているアナリティクスの数値は

  • 接続プレイヤー数
  • 平均プレイ時間
  • 新規プレイヤーの獲得数
  • 復帰プレイヤーの獲得数
  • 島の保持力(定着率)

の5種です。

 

これらの数値を鑑みた時に、自分たちが影響を及ぼせて、かつゲームの面白さを表現しているものが何か?と考えると、明らかに

「平均プレイ時間」

であるように思えます。

 

そこで、今後は自分たちの主要KPIを「平均プレイ時間」に設定し、それによって自分たちを評価していくことに決定しました。

 

これが正解だったか?については、まだ明確な根拠を作成できていません。

 

仮説4:気持ちよさが重要ではないか?

この後、少しだけ制作に時間を空けて、考える余裕を創ってみました。

色々と書籍を読んだり、設計理論を考えているうちに、

「気持ちよさ」

という概念に出会いました。

 

つまり、「ゲームは行動が気持ち良いことが最も重要なのではないか」という考え方です。

 

そこで、現在は「気持ちよさから設計を始める」という風にゲームの企画書を大幅に変更し、さらに「ゲームメカニクス」を15種類に分類することで、

  1. 体験の気持ちよさ(病みつきUX)が何か?を明示する
  2. 主たるゲームメカニクスを選択する
  3. モノエタスメント要素を4つ言語化する
  4. 追加のゲームメカニクスを選択する

という手順でゲームの企画書を創るというワークフローに改善しました。

 

上記により、UXの解像度は大変高くなったことを感じたので、6作目を新しいワークフローに沿って再設計し、全てのファンクションとIPを制作しなおしました。

 

この仮説に関しても、まだ数日前のことなので、結果は未検証となっています。

 

次の仮説のアイデア言語化すると・・・

さて、ここまでが現状の振り返り。

で、このあとは「新しい仮説をどう作るか」という話です。

 

思いついているのが、

⑴自分の好きなゲームをワークフロー2.0で分析してみるのはどうか?

というアイデア

 

というのも、そもそも人間が「面白い」と感じる要素って微妙に違ったり、全然違ったりするんですよね。

 

だから、自分が面白いと感じるものが、いったいどういった「ゲームメカニクス」によって構成されているのか?という傾向を見つけることで、細部までこだわった「自分が面白いと思えるゲーム」を創出しやすくなるのではないか?

 

という仮説です。

 

特にあるあるなのが、「本当に自分が面白いと思ってプレイしていない」というゲームを創って満足してしまうやつです。

 

これ、本当に危険で、そう考えるとやっぱり「自分の感性でも、実際にプレイして面白いと感じるし、何だったら毎日やってしまっている」ようなものを創るのが良い気がします。

 

そのためにも、分析をして、自分の感性にフィットしたものを創る、というワークフローにする。

もちろん、自分の感性を広げるために、いろんなゲームをやってみるのも同時に重要です。

 

色々試してみて、「何が面白かったんだろう?」という風に考える。

それをワークフロー2.0で言語化し、把握していくことで、制作の際に引き出しから出しやすくするイメージです。

 

あと、さらに思いついているのが

⑵UXやゲームメカニクスのアイデアがある時に、それをどういったファンクションで実現するのか?に関しては、ブレストして大量に出してから選択するべきではないか?

という仮説です。

 

これは、単純に「いったん思いついたアイデアが、そのままファンクションレベルで固定されてしまう」という現象を避けるという考え方です。

 

このあたり、次の課題にしながら、制作に取り組んでいきます。